『 転職の前に知っておきたい正しい辞め方 今さら聞けない 転職・退職の超基本』(株式会社ハッカズーク監修)を読んで、基本を学びなおした

株式会社ハッカズーク監修の本

 転職の前に知っておきたい正しい辞め方 今さら聞けない 転職・退職の超基本



転職についての情報をデータ化してまとめた本、という印象でした。


前半は、データのまとめ、という印象が強く、転職希望者よりも、人事職の人に受ける内容でした。

後半は、転職希望者向けの、退職時の事務的な手続き方法などの実践的な内容が載っています。


正直、転職する際にこの一冊では物足りない気がします。

内容が幅広い割には、薄っぺらく感じました。

体験談も多く記載されていましたが、この辺りはインターネットで調べればいくらでも出てくるような内容でしたし、様々な業種、様々な背景がある人で、さらに、うまくいっている人のみ取り上げられていて、失敗例としての体験談も欲しかったです。


転職者について知りたい人事の方や、なんとなく転職の全体像を掴んでおきたい人にはいいかもしれません。



以下、私が読んでいて勉強になった内容です。


1. 雇用者の三分の一は非正規雇用

2. 50代以上の転職は、収入が減る割合のほうが多い

3. 転職のベストタイミングは、1~3、8~10月

4. 退職後は、毎月25万円必要(二人暮らしの場合)


詳細や感想に続きます。



1. 雇用者の三分の一は非正規雇用


思っていたよりも多いと感じました。

「今の時代、正社員勤務がスタンダード」という思い込みがあったようです。

将来、どのように生計を立てていくかは分かりませんが、三分の一が非正規だと知ったことで、正社員にこだわらずに柔軟に選択していけそうです。


勿論、正社員はボーナスや退職金の面でメリットが大きいですが、会社に縛り付けられずに生きていくこれからの社会では、それらのメリットも小さくなっていくかもしれませんね。

実際、イオングループなどでは非正規でもボーナスが出ます。


これからますます変化していく時代の流れが、このまま柔軟な生き方ができる社会へと進んでいってくれることでしょう。



2. 50代以上の転職は、収入が減る割合のほうが多い


このデータには驚きました。

生活水準の向上方法として、転職という手段は今や当たり前となっており、中途採用に力を入れる企業もますます増えています。

しかし、やはり50代以上となると買い手市場の色が濃くなるのでしょうか。


このデータだけを見ると、早く転職しなければ良い転職先が無くなる、と考えてしまいがちです。

しかし、それだけではないと思います。


20~40代の人と今の50代以上の人では、転職への価値観が全く違うということを忘れてはなりません。

「転職は裏切り」と言われ続けてきた人と、「転職はスキルアップ」と言われてきた人、大きな違いがあります。


優秀な50代は、教育されてきた思想に従い、自分を育て上げてくれた企業に忠誠を誓い、転職を考える人は少数です。

一方で、優秀な若者は、育ててくれた会社への感謝と共に、より高みを目指して積極的に転職していきます。


従って、年齢が上がるとともに良い転職ができなくなる、わけではない、ということをこのデータを見る人には押さえておいてほしいです。


勿論、まったく同じ能力なら、若い人を採用する企業も多いでしょうが、きちんと能力を持っていれば、高齢でも良い転職は可能です。



3. 転職のベストタイミングは、1~3、8~10月


求人数が増える時期、というのが、転職市場には存在します。

それが、1~3月、8~10月の6か月間です。


この時期に転職活動をすれば、多くの求人の中から選ぶことができるようです。


一方で、その他の時期には求人がないのかというとそうではありません。

その他の時期にも求人はあり、また、切羽詰まった求人もあります。


どの時期に転職活動をしても運の要素が強いので、時期を選ぶのが困難な場合も、そこまで気にしなくてもよいでしょう。



4. 退職後は、毎月25万円必要(二人暮らしの場合)


軽く考えていましたが、このデータを見ると少し焦ります。


ひと月25万円とすると、一年で300万円。

平均寿命は、男性81歳、女性87歳ですので、85歳まで生きるとします。

60歳で退職するとして、残り25年。

300万円 × 25年 = 7500万円 


60歳で退職してから寿命を迎えるまで、7500万円かかるようです。


年金をしっかりと納めていた二人であれば、20万円ほどは毎月入るとすると、一年で240万円。

240万円 × 25年 = 6000万円


必要な金額から年金額を引くと、 1500万円です。

60歳までに、最低でも、1500万円の貯蓄が必要ということですね。


しかしこれは、心身ともに健康に寿命を迎える、ラッキーな人の話です。


もしも重い病にかかって入院生活が続いたら?

もしも家が火事で失われたら?

もしも詐欺にあったら?


色々な危険要素がある中で、最低限の貯蓄は恐ろしいものがあります。


最近では、「定年までに6000万円貯蓄しておきましょう」と言われ始めました。


終身雇用制度も、退職金制度も無くなると予測されている未来では、貯蓄せずに退職金で生きていくという定年後の人生は望めそうにありません。


また、お金の価値が日々変化している昨今では、貯蓄額がいくらあれば安心、という指針も崩れつつあります。


将来への不安が深刻化していく中でも、物価の上昇や食料の品薄、自然災害、様々な脅威が押し寄せてきています。



この本自体は、転職をテーマにした本でしたが、転職者が求める内容には不十分だと思います。

人事目線の内容で、いいことばかりが書いてある本、という印象が強いです。

本のタイトルも、『超基本』とありますし、この一冊で全てを知ることは難しいですが、転職を考え始める初めの一歩としてはいいかもしれません。


また、人事や転職業界などの様々なデータを知り知見を広げたい人とっては、読み方次第で面白い一冊となるはずなので、オススメです。



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