『黄色い家』(著:川上未映子)を読んで、泣きながら通帳残高を確認した

小説家、川上未映子さんが書いた本

 『黄色い家』


お金の力の強大さを、改めて考えてしまう一冊でした。


その日暮らしの極貧の母子家庭で育った少女が、お金を求めて狂いながら生きる5年余りを描いた小説です。


600ページを超える長編小説で、読み切るのにもそれなりの時間がかかりましたが、内容は最初から最後まで濃いままで、寝るまも惜しんで読んでしまいました。


読み終わった後は、

「生まれた環境によって、犯罪に手を出さなければならなくなってしまう子供たちを、安全に生きられる人生へと誘導する道はないのだろうか。」

そう他人事として考えたすぐ後に、

「私自身は大丈夫なのか?」

と、気付きます。

そして急に心拍数が上がって、通帳残高を確認してしまう

そんな本でした。


・思い悩みながら必死に生きても、どうしても超えられない『生まれ』について考えたい方

・切羽詰まった気持ちになりたい方

・人生の分岐点で、楽な道と厳しい道のどちらを選択するか迷っている方

・専業主婦になろうとしている or なっている方

・弱者を救う仕事をしたい方

・この世の中の不条理に目を向けたい方

・重くて苦しい気持ちになりたい方

・誰かに依存してる方

・一人で生きていけると思っている方

・勉強する意味を知りたい方

・犯罪に手を染めようとしている方

・身内にお金をねだられた方

などなど


お金と共に生きているすべての人に読んでもらいたい本です。




⚠ 以下ネタバレ含みます ⚠




読み終わったときの、爽快さが一切ない本でした。

万引き家族や、半地下の映画を観た後と同じ気持ちになりました。


どうしようもできないことが、この世にはたくさんありますが、その中でも一番ひどいのは、やはり『生まれ』ではないでしょうか。


どうしても、一生逃げられないその『生まれ』。


私自身、社会人になってからよく感じます。

大学まで出してもらって、社会人になった今でも、長期休暇の度にワクワクしながら帰ることができる実家があること。

信頼できる家族や友人がいること。

お金がなくて泣いたことがないこと。

「私は非常に恵まれた環境で生きているのだ」と。


私の周りにも、

・非常に優秀な頭脳を持っているのに、「お金がなかったから」という理由で、大学進学を諦めて、工場の単純作業に従事している子

・親がたくさんのお金と時間と労力をかけて大学を出させたのに、早々に働くことを諦めた子

・束縛の激しい親のもとで育ったことで、婚期が遅れた子

色々な子がいます。


「もしも、違う家に生まれていたら?」

そう思ってしまっても仕方がないような子がたくさんいます。


でも、中には不思議とそう思わずに、「それも運命」と受け入れる人もいました。


その本の主人公は、こちらのタイプだと思います。


他人のせいにして、恨みを重ねながら生きていくのが通常とも思えるその境遇の中でも、抗い続ける。

未来を見続ける。

そんな強さがあります。


何とかしてより良くいきていくのがという決意のようなものが、確かに彼女の中にはありました。


しかし、残酷なもので、やはり、子供だけでは間違った方向に進みます。

分からないことが分からない。


教育の場がいかに重要か。社会福祉の発展がいかに重要か。



「幸せを感じながら生きていける人は、何も考えていない人だ」というセリフがありました。

その言葉の主は、辛苦をなめながら生きてきた裏の社会の人間でした。


私自身、それは一理あるとは思います。

しかし、それだけではないとも思います。


幸せを感じながら生きていける人は

・何も考えていない人

・努力を重ねた末に、自分に自信を持てた人

・諦める力が強くて、幸せのハードルが低い人

その3種類があると思います。


何かを考えている人は、頭を使って生きている人は幸せになれない。

そんなのは悲しすぎます。

でも、確かに、いや・・・。

後でもう少し考えてみます。



この本は、心が締め付けられる重い話が連続して出てくる一冊でした。


時間がある方もない方も、改めて自分の生き方、お金との関わり方について考えるべく、読んでみてはいかがでしょうか。


もしも自分に子供ができて、その子供におすすめの本を聞いてもらえたら、この本もおすすめしたいです。


暗くて辛い本でしたが、読んでよかったです。


皆さんも是非、読んでみてください。



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